こんにちは、相厚エステートの添田です。
突然ですが「線引き」という言葉をご存知でしょうか?
「線引き」とは、住宅や道路、公園等を整備していきましょうという「市街化区域」と原則建築行為は行ってはいけませんという「市街化調整区域」の2つの区域に区分する事を言い、昭和46年に線引きが行われました。
下の図は各市町村のウェブサイトから見ることが出来る「都市計画図」と言いますが、赤い線の左側が市街化調整区域で、右側が市街化区域です。
市街化調整区域に指定され昭和46年に建物が建っていた土地を「既存宅地」と言い、現在も建替えや住宅の新築をする事が出来ます。
しかし、昭和46年に畑や田の場合は原則、住宅の建築をする事はできません。
建築が出来ない市街化調整区域の田や畑は農家など特定の人同士でしか売買が出来ないので資産価値がほとんど有りません。
新築や建て替えが出来る土地かどうかで、市街化調整区域の資産価値が大きく変わってしまうのです。
個人でも調べることができますので興味がある方は確認してみてはいかがでしょうか?
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まずは登記事項証明書を見ましょう
最初は最寄りの法務局で、土地の「登記事項証明書(全部事項証明書)」を取得し昭和46年以前から地目が「宅地」になっているかを調べます。
昭和46年以前から「宅地」なら原則建築可能ですが、地目変更をしたのが昭和46年以降だったり、「畑」や「田」の場合は登記事項証明書以外の書類を探す必要があります。
登記事項証明で宅地の確認ができなかった場合
土地登記簿の登記事項証明書で、昭和46年の「宅地」が証明できない場合は、次の資料を総合的に勘案して確認を行います。
- 土地の評価証明書(線引き前から現在に至るまで「宅地課税」されていたことを確認します。役所の資産税課で「評価証明」を取得するのですが、土地所有者以外の方が申請する場合は委任状が必要になります)
- 46証明(資産税課や開発審査課で「昭和46年度固定資産課税台帳登録事項証明書」を取得し課税地目または現況地目が宅地になっているかを確認します)
- 建物の登記事項証明書(登記の日付が昭和46年以前かを確認するのですが、この当時は建物が未登記の場合もあります)
- 家屋の評価証明書(建物が未登記の場合、線引き前から「宅地課税」されていたことを確認します。資産税課で「評価証明」を取得するのですが土地同様委任状が必要です)
- 農地転用許可済証明書(昭和46年以前の農業委員会の証明書)農地転用の許可は受けてたのに地目変更をしていなかった場合があります。
- 建築基準法による検査済証(検査の日付が昭和46年以前のもの、但し検査済証どころか建築確認がない場合もあります)
航空写真を確認しましょう
神奈川県の場合は横浜市にある神奈川県庁で航空写真が閲覧できます。(閲覧は無料ですが、写真は有料で昭和44年と昭和48年の白黒写真2枚で約12,000円です。)
こちらは昭和44年の航空写真、赤い◯印が調査地です。
対象地に建物が写っていればOKなのですが、昭和44年には建っていませんでした。
次に昭和48年の航空写真を確認します。
建物を確認!!昭和44年から昭和48年の間に建築されたことが確認できます。
①昭和44年と昭和48年とも建物ナシ。
既存宅地を主張する事は難しいので建築は諦めた方がいいですね。
②昭和44年ナシ、昭和48年アリ
原則建物の建築はできません。ただし別の方法で昭和46年に建っていた事が証明できれば可能性あり。
③昭和44年アリ、昭和48年ナシ
②と同じ
④昭和44年、昭和48年とも建物アリ
既存宅地として認められる可能性あり
⑤必要書類を揃えて市町村の窓口へ事前相談へ行きましょう
しかし、事前相談の申請書類は一般の方では作成できませんので専門家に依頼する必要があります。
建替え可能な土地(既存宅地)として認められたら
- 現在建っている建築面積の1.5倍までの建物であればそのまま建築可能
- 43条建築許可を取得すれば1.5倍以上の建築が可能
- 29条開発許可を取得すれば区画形質の変更を伴う造成工事も可能
注意事項
再建築の許可がおりるまでは既存の建物は取り壊さないでください。取り壊してしまうと再建築の許可を出してくれない市町村もありますので気を付けてください。
43条建築許可や29条開発許可は個人で申請する事は難しいのでお近くの不動産業者へ依頼してください。
相厚エステートがある神奈川県厚木市は全体の50%が市街化調整区域なので取り扱いには慣れておりますのでお気軽にご相談ください。