こんにちは相厚エステートの添田です。

当社では様々な市街化調整区域にある不動産の売却相談をいただいておりますが、今回は「農家住宅と分家住宅」の売却方法について説明します。

そもそも農家住宅と分家住宅ってなんでしょうか?

農家住宅とは

農業従事者が居住する事を条件に市街化調整区域の農地に建築する住宅を農家住宅と言います。

  • 昭和46年以降に建築している
  • 農地を所有または所有以外の権限で耕作を行っている世帯(以下農家と言います)で一人以上の者が年間60日以上農業に農業に従事していること
  • 農地を所有または所有以外の権原で耕作を行っている農業生産法人の常時従事者である社員又は法人で、その法人のぎょぎょ有無に必要な農作業に従事する者
  • 農家住宅は一農家につき一住宅のみとする

分家住宅とは

分家住宅とは農家の本家から独立した家族が市街化調整区域内の農地に建てる家のことを言います。

  • 昭和46年以降に建築している
  • 建築の申請が出来る者は農家の家族で、分家した後も農業を営むことを認められた者であること
  • 分家する者につき、一住宅一回限り
  • 分家住宅の建築予定地は原則として本家と同一の集落内にること
  • 建築予定地は原則として申請者がその土地を1年以上保有していること
  • 予定地に住宅を建築しなければならない理由があること

既存住宅とは

線引き前(昭和46年以前)から建っていた住宅の事を言います。「線引き」についての詳細は「市街化調整区域内の土地で新築または建替えが出来るかの判断方法」でご説明しているので興味がある方はご覧ください

既存住宅と農家分家住宅との違い

既存住宅は不動産に対して建築の許可をするので居住者を選びませんが、農家住宅や分家住宅は申請者に対して特別な建築許可をした住宅なので、許可を受けた人しか住居することができません。

そのため農家分家住宅を売却をしても、購入した人が居住すると都市計画法の違反となり、退去命令が出る場合があります。

農家分家住宅の調べ方

建築の申請をした本人は所有する住宅が農家住宅か分家住宅かを知って当然なのですが、申請者が亡くなり相続をした親族は知らない場合があります。

相続をしたけど他に住宅を所有している・遠方なので住めない等の理由で、利用しないから売却を検討して初めて自分の家が普通の住宅ではないことを知る方もいらっしゃいます。

不動産屋に調べてもらう事も出来ますが、市役所の開発指導課(市町村によって名称が違う場合があります)に聞けば教えていただけます。

農家分家住宅を売却するには

建築する時も大変な手続きを必要としますが、売却するのも既存住宅と比べ手続きが複雑なため不動産業者によっては「売却できません」と回答するところも少なくありません。

通常の不動産売買と比べ手間がかかるので「やりたくない、やり方がわからない」というのが正しい説明かもしれません。

建物を解体し、更地にすれば売却できますが土地の価格より解体費用の方が高い場合もあります。

農家分家住宅から専用住宅への用途変更が必要です

下記の条件に該当し、神奈川県開発審査会の許可を受ければ専用住宅に用途変更をすることが出来ます。

詳細は「神奈川県開発審査会提案基準20 建築物の用途変更」に記載されていますが、10回読んでも理解できないほど内容が難しいので簡単にご説明します。

申請をする方が下記①~④の何番に該当するか確認してください

①建築主が用途変更の申請を行う場合

  • 現在も居住していること
  • 居住していない場合はやむを得ない理由があること
  • 建築主が10年以上居住していた実績があること
  • 農業従事者の資格を喪失したこと
  • 返済困難な借金、破産など経済的な理由があること
  • 転勤や離婚、療養等の家庭的な理由があること
  • その他やむを得ない事情があること

②建築主の相続人が用途変更の申請を行う場合

  • 現在も居住していること
  • 居住していない場合はやむを得ない理由があること
  • 他に自宅を所有しており、当該住宅に住むことが困難な場合など
  • 相続人に5年以上の居住実績があること
  • 相続登記を済ませること

③居住目的で取得しようとする者が用途変更の申請を行う場合

  • 建築主が10年以上居住していた実績があること
  • 専用住宅へ用途変更をしたあと居住すること
  • 他に住宅や居住可能な不動産を所有していないこと
  • 同市町村内の会社に勤めていること
  • 同市町村内に居住していること

④既に建築主以外の者が居住しており用途変更の申請を行う場合

  • 農家住宅、分家住宅と知らずに取得し居住している善意の第三者であること
  • 住宅が平成11年4月1日以前に建築されていること
  • 申請者が5年以上前から現在まで居住していること

申請から許可取得までにかかる時間

審査会の開催日が決められているため、申請のタイミングによっては約6か月かかります。

神奈川県厚木市に限り、令和4年8月1日に提案基準の一部見直しと、令和7年1月1日に開発審査会の許可が不要になったため申請から許可までの期間が短縮されました。

  • 事前審査書類の準備
  • 提出から回答まで約1週間
  • 本審査の書類作成に1~3か月
  • 提出から許可まで約2週間
  • 開発審査会の許可に約3か月

事前審査に必要な書類

  • 地図(1/50,000以上と1/2,500以上の2種類)
  • 土地建物の謄本と公図(法務局のもの)
  • 地積測量図
  • 建物の図面一式(配置図・平面図・立面図・求積図)
  • 開発許可通知書又は建築許可通知書
  • 土地家屋固定資産税評価証明書
  • 土地家屋名寄帳
  • 用途変更を行う理由書
  • 住民票、戸籍謄本など(10年以上居住が証明できるもの)
  • 現況写真

本審査に必要な書類は土地家屋調査士や設計事務所に依頼するものなので費用がかかります

許可取得にかかる費用

お手元にある書類の保管状況によって変わりますので個別の見積もり対応とさせていただきます。

専用住宅と既存住宅の違い

本ブログで説明している内容は「農家分家住宅」から「専用住宅」への用途変更です。

「申請者が居住する目的」の用途変更なので、許可後に賃貸や民泊などの投資目的での利用は出来ません。

農家分家住宅から既存宅地への用途変更は出来ませんのでご注意ください。

非常にややこしい話ですが、「農家分家住宅」「専用住宅」「既存住宅」は全く別のものと覚えてください。

まとめ

当社がある神奈川県厚木市は全体の50%が市街化調整区域に指定されている為、市街化調整区域の不動産売買は熟知しております。

過去に売却の相談をして「売れません」と回答されてしまい諦めていたお客様は一度、相厚エステートまでご相談ください。

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