農地(田んぼ)

こんにちは、相厚エステートの添田です。

当社で開設している「不動産なんでも相談室」に農地の売却にかんする相談を頂いただきましたので説明させていただきます。

農地とは

農地法という法律上の定義では「耕作の目的に供される土地」の事を言いますが、ざっくり言うと実際に耕作をしている土地で登記の地目が田と畑になっている土地の事を農地と言います。

市街化区域内の農地は一部の生産緑地を除き手続きは簡単ですが、市街化調整区域内の農地を売却するには多くの制約があるため、きちんと理解してから話を進める必要があります。

農地の種類

農地の種類と転用について

農地には農業振興地域(農用地区の青字)・甲種農地(農用地区の白地)・第一種農地・第二種農地・第三種農地の5つに分けられ、転用できるかどうかの判断材料になっています。

対象の農地がどれに該当するかを各市町村の農業委員会で確認してから転用の計画を進めましょう。

農地のまま売却する

売り手にとって一番シンプルな選択肢ですが、農地のままで売却する場合にはいくつかの制約があります。

家庭菜園は昔から人気があり農地を購入したい方はたくさんいらっしゃいますが、一般の方には農地を購入する事は出来ません。

そのため農地のままで売却するには農業従事者を探す必要があります。

農業従事者とは

一言で言うと「農家」で農業を職業とする人の事を農業従事者と言います。

農林水産省の統計によると平成22年に260万人いた農業従事者が平成30年には175万人まで減少しています。

農業従事者が減少しているということは農地を売りたい農家は沢山いますが、購入したい農家は殆どいないのが現状です。

農地の購入を考えている方へ

会社にお勤めの方で農地を取得するには2つの方法があります。

  1. 市街化区域の農地を購入する
  2. 農業従事者の資格を取得する

市街化区域内なら一般の方でも農地を購入出来ますが、固定資産税が住宅地の6倍になるため維持費も考えなければいけません。

農業従事者の資格は一定の基準を満たせば取得する事も出来ますので興味のある方は厚木市のホームページ(新規就農者認定制度について)をご覧ください。

私のお客様で農業従事者資格を取得された方がいらっしゃいますが、最初に農地を仮登記で購入してから勤めていた会社を辞め、新規就農者認定制度を利用したのですが、取得までに5年ほどかかっていました。

このように農地は簡単に取得できませんので貸農園を利用するのも良い方法かと思います。厚木市市民農園について

農地(畑)

農地を転用して売却する

農業従事者へ農地のまま売却できたとしても金額は一坪あたり数百円~数千円にしかなりませんので無償提供する方もいらっしゃいます。

しかし、農業委員会の許可を取得し農地以外の土地へ転用する事が出来れば一般の方への売却が可能になります。

転用とは

登記に記載されている地目を「田・畑」から「雑種地・山林・宅地」に地目変更する事を言います。

地目変更をするには農業委員会の許可が必要になり、非農地証明または農地転用の許可を取得するのが一般的です。

非農地証明の取得

登記地目が田や畑であっても10年以上※農地以外の用途で利用されている土地であれば非農地証明が取得でき、地目変更も簡単にできます。

※厚木市では10年ですが、市町村によって違いますので各農業委員会にご確認ください。

但し、無許可で農地以外に変更した場合や、農業委員会から農地に復元する指導があった土地には非農地証明は発行されません。

農地転用の許可申請を行う

農地転用許可申請の事を略して「農転」と呼んでいます。

市街化区域であれば農転は簡単な手続きで完了しますが、市街化調整区域の「農転」は難易度が高く不動産業者でも出来ません。

農地転用の申請は行政書士、地目変更登記は土地家屋調査士が行いますが、資格を所有していれば誰でも出来るものではなく特別な知識や経験を持った専門家でないと出来ない手続きです。

難易度は都道府県や市町村によっても違いますが神奈川県央エリアの専門家が手続きをした場合、許可申請から許可取得までにかかる期間は3か月から1年間は見ておく必要があります。

転用許可を取得できる農地の特徴

いくら専門家でも転用できる農地とそうでない農地があり、接道のない農地は転用を諦めるしかないと思います。

転用しやすい農地の特徴として接している道路の幅が5メートル以上であること、幹線道路に面していること、市街地との距離が遠くない事、高速道路のインターチェンジまでの距離が3km以内である事が挙げられます。

コンビニエンスストアやショッピングモール、運送会社の物流倉庫、車両置き場などは上記の特徴に当てはまっているので転用の許可が受けることが出来るのです。

ぶっこう法(物流総合効率化法)

下記条件を満たすの農地はぶっこう法により農地転用が認められる可能性があります。

〇立地要件:高速自動車国道のインターチェンジ、鉄道の貨物駅、港湾、漁港、空港、流通業務団地、工業団地又は卸売市場の周辺5㎞の区域内
○規模要件:普通倉庫の場合は平屋3,000㎡・多階6,000㎡以上、冷蔵倉庫・貯蔵槽倉庫の場合は6,000リッポウメートル以上

農地を売却したときの税金

農地を売却したときに得た利益に対し譲渡所得税・住民税・復興特別所得税がかかり、取得してから5年以内は短期譲渡・取得してから5年超は長期譲渡として税率が大きく違ってきます。

仮に農地を売却して100万円の利益が出た場合、短期なら396,300円・長期なら203,150円の税金を支払うことになるので売却時期も考えた方が良いですね。

5年以内に売ったら4割近く税金を支払わなきゃいけないんですね。

まとめ

市街化調整区域にある農地の売却を検討していたが諦めているというお客様へ。

この記事でご説明させていただいたように農地の売却は難易度が高いため、相厚エステートでは農地転用を得意とする専門業者と提携をしております。

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