こんにちは、不動産なんでも相談室の添田です。

今年取引した実話です。

結論から申し上げると任意売却専門を謳っている会社が自分の利益だけを考え任意売却に失敗したお話です。

売主様は離婚が原因で住宅ローンの支払いが停滞してしまい、任意売却の手続きを開始しました。

※今回は任意売却の事を理解されている方に向けた記事なので詳細説明は省略させていただきます。

任意売却の詳細はこちらの記事をお読みください。

不幸中の不幸でした。

売主様は売却をしてくれる業者をネットで探し、多数ある任意売却専門業者の中から運悪く今回の業者を見つけてしまったのです。

私もこの業者のホームページを見たのですが、騙されても仕方のない誠実で任意売却に精通していそうなホームページを作成しています。

任意売却の関係者

  1. 売主様
  2. 任意売却専門業者 (以下業者A)
  3. 債権者(債権回収会社)
  4. 当社(仲介)
  5. 買主様(住宅ローンにて購入)

買主様から不動産購入申込をいただくまで

販売をするために業者Aは債権者への返済金額や諸々の諸費用を計算し販売価格を設定します。

販売価格が決まったらレインズ※に掲載し販売を開始します。

※レインズとは・・売却依頼をいただいた不動産業者はレインズというデータベースに物件情報を登録し、他の不動産会社へ物件情報の共有をしなくてはいけません。

レインズを見た当社は買主様へ物件を紹介し、築浅であること、立地が今の賃貸住宅から近いことを理由に大変気に入っていただき不動産購入申込をいただきました。

通常の売買契約の流れ

  1. 不動産購入申込
  2. 売買契約
  3. 引渡し

とシンプルで通常は1か月~2か月で完結します。

任意売却の流れ

  1. 不動産購入申込
  2. 債権者の承諾
  3. 売買契約
  4. 引渡し

のように2の債権者との折衝業務が追加されますが、1か月~3か月で完結します。

通常より時間がかかる案件もありますが、その場合は購入申し込みを受け取る前に説明するのが常識です。

しかし、今回の業者Aは何の事前説明もなく不動産購入申込を受け取り、売買契約までで3か月も経過しました。

さらに業者Aが提示してきた契約条件は以下の通り

  • 三為契約にしたい
  • 引渡猶予を1か月つける
  • 契約不適合責任は免責
  • 境界非明示
  • 決済までの期限は2週間

・・・呆れて物が言えません。

不動産のルールや宅建業法を知らない不動産屋さんっているんですね。

三為契約(さんため)とは

「第三者の為に行う契約」を略した用語で、業者Aには金銭的メリットが多くなりますが、売主様と買主様にはデメリットが多い契約です。

引渡猶予とは

売買代金を支払った後に、売主が引っ越しを完了までの一定期間住み続ける為の特約ですが、任意売却では買主が不動産業者なら応じる可能性はありますが、一般の買主で引渡猶予を付ける事はありません。

契約不適合責任とは

引渡しを受けた後に雨漏りや傾きを発見した場合、売主に補修または賠償してもらう権利のこと。責任能力の無い個人の場合は特約により免責にすることは出来ますが、宅建業者が売主の場合は特約は無効になります。

境界非明示

物件の境界を明示することは売主の責任とされています。普通の任意売却なら境界非明示の取引もありますが業者売主では必須です。

決済まで2週間

2週間の理由は競売の改札日までの期間でした。期限が来てしまうと裁判所の権限で落札者へ売却されてしまうため本売買契約は解除するしかありません。

当社の判断

買主様に事情を説明し売買契約は辞退するよう強く勧めましたが、物件を気に入っており諦めが付かないとの事なので、下記を条件に売買契約を締結しました。

  • 手付金は売主には渡さず、当社で預かること
  • 期限切れで解約になる可能性が高いこと
  • 売買契約書印紙代10,000円が無駄になる可能性が高いこと

結論

住宅ローン融資銀行の事務処理が間に合わず期限切れ、売買契約は白紙解約になりました。

三為までは認めていただけたのですが、その他の条件を認めていただくには時間が足りませんでした。

当社の反省点と課題

  • 業者Aのような任意売却専門業者とは2度と取引しないこと
  • 業者Aのような任意売却専門業者が扱う物件をお客様に紹介しないこと
  • 業者Aのような任意売却専門業者に騙されないような情報発信をしていくこと

まとめ

任意売却は精神的に追い込まれている債務者を救済するための不動産売却なのに、足元を見て不当な利益を得ようとする任意売却専門業者が一定数おりますのでくれぐれもお気を付けください。

今回は「不動産なんでも相談室」と言うより、2,000字も使った愚痴ブログを書いてしまいましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。

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